日本財団 図書館


 

5.3 プロトンエネルギーと膜利用エネルギー変換

(1) 光駆動イオンポンプ
光異性化反応は、光による分子構造の直接制御方式として注目されている。この光反応分子が比較的バルキーであると、分子の構造変化量も大きく物理的な運動量としてとりだすことも可能である。実際の生命システムとしては、レチナールの光駆動によるプロトンポンプなどの例が見られる(図5−8)。

094-1.gif

図5−8 光駆動プロトンポンプ

近年、「分子ナノテクノロジー」の概念が注目される。しかしながら、その最大の問題点はミクロな分子機構とマクロな世界との接点の実現である。この解の一つとして、光異性化反応による光−メカニカル駆動システムの概念が浮かび上がってくる。
エネルギーシステムヘの応用として、光応答性を示す人工膜を利用したプロトンポンプを作製し、化学ポテンシャルによる蓄電池システムを構築する(図5−9)。さらに、キノンタイプの光応答分子を用いることにより、1光子の吸収に対して1つのプロトンを生成する仕組も検証されている(図5−10)。

094-2.gif

図5−9 光駆動蓄電池

光(図中の7)の照射により膜のチャンネルをこじ開けプロトン輸送による濃度勾配を形成し、化学エネルギーとして蓄える。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION